東京国税局主宰「全国GI酒類セミナー」のご紹介

2022年1月25日、26日にオデマンドで行われました「全国GI酒類セミナー」に参加させて頂きました。解りやすく整理された内容で、3名の方が違った角度からそれぞれのGIについて紹介するスタイルで、酒類GIの魅力に深く触れる事が出来ました。日本の酒文化の素晴らしさを改めて感じていただけると思いますので、その内容についてレポートさせて頂こうと思います。(タイトル画像は国税庁HPより)

目次

◆GIとは?

GIとはGeographical Indicationの略字で日本語に訳すと「地理的表示」という意味です。海外の例で言いますと「シャンパーニュ」はシャンパーニュ地方でシャンパーニュ製法で作られた発泡性ワインを示す地理的表示です。つまり、その表示をすることによって「正しい産地」と「一定の品質基準」を満たす良質な製品であることが示され、消費者も安心して購入することができるのです。

日本の酒類では歴史は新しく、平成7年に焼酎で「壱岐」「球磨」「琉球」が指定されたのが初めてで、その10年後に焼酎の「薩摩」と日本酒で初めて「白山」が指定されました。以降ワイン、リキュールも含め、2021年までで18の地域が指定されました。さらについ先日2月7日、新潟も指定を受け、今後益々指定地域が増えていくことで差別化が図られ、さらにその魅力を高めて行くことが期待されます。

◆酒類の輸出を増やす為には

国税局ホームページより

主催者挨拶のなかで、東京国税局市川健太局長は、日本酒の輸出が活況なことを評価しながらも、更なる推進が必要だと説明なさっています。
確かに、日本酒の輸出は、2020年で710億円で9年連続増加しており、2021年は上半期で既に500億円と好調に推移しているのですが、それでもフランスのワインの輸出金額の1/10以下という状況で、まだまだ可能性がある状況なのです。
国内のお酒の消費は飲酒人口の減少もあり、産業としては輸出のさらなる強化が必要とされます。そのためにGIは明確な品質基準として有効な手段なのですが、残念ながらその認知はまだまだ浅く、国内における地域ブランドの価値を向上させ、相互に差別化を図り、各ブランドへの内外消費者の認識と信頼を高める必要があるとおっしゃっています。
今回の一連のセミナーはその基礎となるもので、現在指定されている酒類GIの魅力をしっかりと発信していくものです。関わる多くの方々の強い思いが込められたお話は、内外の消費者の心に響く内容になっているものと感じました。

◆GIの魅力の源泉

全国GI酒類セミナー基調講演資料より

基調講演では、酒類総合研究所福田央理事長より、 水の採水地や原料の産地、品種、規格等、地域性から生じるお酒の品質の違いについてお話しがありました。更にそれらに加え、関与する人や技法、教育伝承、嗜好等も地域性に影響を与える要因となるとの見解を示されました。つまり、広く解釈すると、GIはgeographical Interaction(地理的相互作用)やgeographical Identity(地理的存在証明)という捉え方もできるということなのです。このメッセージにはGIの魅力を伝える大きなヒントが込められていると思います。地域で関わる人が情報を交換しながら研鑽し、その地域に息づくこと自体がGIの魅力のベースになっているのではないでしょうか。
今回、ソムリエ協会の賛助・友好団体セミナーという形で、参加人数が限定される開催でした。抽選で1人2講座に限る参加でしたが、幸いに私は白山と播磨に参加させて頂くいことができました。事務局より事前に試飲用の酒とペアリング用のフードが送られ、地域の魅力、品質及び認証のスタイル、食とのペアリング等の3講座で構成されており、多面的にその魅力を知ることが出来る内容です。具体的には次回のブログでご紹介したいと思いますので、是非ご覧下さい。

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